一時間で良いから普通の女の子で居させてくれたら良いのに。信じていた人に汚された私を何も知らない純粋な女の子として笑わせてくれたら良かったのになぜ時間は過ぎてしまうのだろう。

「・・・千里。この後、少し時間あるか?ちょっと手伝ってほしい事があるんだ」

「はい・・・?」

柏崎先生は頭を優しく撫でると私に仕事を手伝ってほしいと頼んできた。一体、何の仕事なのだろうと思ったけれどもう少し一緒にいたかった私は承知してしまった。
正直、強姦されるかもしれないという不安が無い訳ではなかった。この町に来る前に高校教師からされた強姦の口実が、放課後の居残りだったから吐き気がするほど気持ち悪い光景がフラッシュバックしてきて逃げ出したくなった。でも、柏崎先生は他の人とは違う。先生と生徒の関係を越えて強姦なんて絶対にしない。根拠の無い自信が、誰もいなくなった音楽室に私を留めてくれていた。