家の中に入っても、無事で本当に良かったと千里を心配する言葉しか飛び交ってはいなかった。もちろん、俺も全力で皆に謝罪したさ。でも、結局は千里の優しさに救われてしまった。

「結羽くんが一緒にいてくれてなかったら私、きっとここにいられなかった。ごめんね、ありがとう」

夢華がそういうのなら。そう言って皆は俺を許したさ。でも、皆の思っている通りなんだ。俺がちゃんと携帯の充電をしていればここまで皆を心配させる事はなかった。あそこで俺が夢華と車に乗った後すぐに走らせていたら確実に俺たちが被害にあっていた。心配にならないはずがないんだ。場所を提案してくれた看護師の姉は特に責任を感じてしまったんだろう。俺は謝って当然の事をしたんだ。

「ごめんな、夢華」

夢華はいつも通り、俺の前で息をしながらただ笑っていた。