健たちは涙を流しながら千里を抱き締めているし、千里の祖父母は安心したように地ベタへ座り込んでしまった。俺の両親と姉の旦那は千里の祖父母についていたが、姉は3人とも俺を睨んでいた。

「なんで電話繋がんなかった」

「悪い、充電切れた」

「あんたたちが通って帰ってくるはずの道路で事故があった。事故に巻き込まれたのは若い男女。即死の状態で身元確認できる物も焼け焦げて残ってない。なのにあんたは電話しても出なかった。夢華ちゃんの携帯は家にあったから連絡の取りようがなかったけどあんたは持ってるだろーが。ふざけんなよ」

そうか。俺がさっき感じ取ったのはその事故の事だったのか。あのまま暇を潰さないで帰っていたら、俺と千里は本当に会えなくなっていたんだ。だから、姉はこんなにもキレているんだ。心配かけさせやがってと俺に腹が立っているんだ。