元々、夕方まで暇を潰す予定だったんだ。今日は千里の誕生日で千里の家で誕生日パーティの準備をしていたから看護師の姉がどっかで暇を潰してこいと俺の背中を押してくれたんだ。

「もうそろそろ行くか」

千里が自分から顔を近づけて唇を重ねるとはっと言ってまた笑った。そして、家路についた。その後の千里は嬉しそうな、でも照れたような見た事のない可愛らしい表情で話してくれていた。俺はそんな千里に運転しながら癒されていた。
家に着くと、千里の家にいたはずの皆が焦って外に出てきた。そこには俺が呼んでいた健たちもいたが、ほとんどが裸足で俺たちに駆け寄ってきていた。外に裸足で出てくるほど焦る事なんてあったのか。皆いるし、誰かが亡くなった訳じゃないんだろう。
看護師の姉は俺の目の前まで来ると俺の頬を跡が付くくらい強く平手打ちした。何が起こったのか分からなかったが、ただ事ではない事は確かのようだ。