大丈夫なんだよ。俺は千里と車の中に戻ってからも自分に言い聞かせていた。大丈夫、これからもずっと一緒にいれるんだって。

「結羽くん。私、結羽くんの事が大好きです。これからもずっと」

俺は車を走らせる前に彼女にそっと口付けを交わした。俺がただ早とちって死んでしまったらと考えて怯えていただけなのに、本当にいなくなってしまいそうな笑顔で俺を見詰めてきたんだ。
このまま、今のタイミングで車を走らせてはいけない気がした。そうすればもう二度と彼女に会えない気がしたんだ。俺は俺の気が済むまで彼女に触れていた。
柔らかい唇、綺麗な肌、厚めなのに柔らかいスカート、着なれたコート、外の気温で冷たくなった白い指。全てを俺の物にしたくなった。もう二度と離れられないように全てを俺の中に閉じ込めてしまいたくなった。けれど、俺の勝手な我が儘で千里の自由まで奪うわけにはいかない。俺は夕方になるまでこうして触れていた。