一応、私の私物だし教室に置いておくわけにいかない。それにパソコンやプリント、ファイルと色んな仕事の物があったからそもそもデートどころではなかったのかもしれない。
自分の部屋にギターを置いて、そんな事を考えながら柏崎先生の許へ戻ると柏崎先生は慌てて電話を切っていた。
切っても良い電話だったのかな。最近、誰かから頻繁に掛かってきているみたいだけど仕事とか大切な用事だったのかもしれないと思って深く訊いた事なかったな。

「電話、良かったんですか?」

一瞬、驚いたような表情をした後に目をそらしてしまった。戸惑っている様子を見ると、あまり深く訊いてはいけないような気がしてそれ以上追求できなかった。でも、今日は何か違うみたい。車に乗って少し走らせた所で先生は私に電話の事を話してくれたんだ。

「電話、健たちからなんだ。・・・不安にさせてごめん」