「あのっ、えっと・・・」

「・・・まぁ。確かにギターとキーボードはコード楽器で通るし、無理にもう1つギターを増やさなくても良いわな。そりゃそうだ」

何で分かるんだろう。最近、柏崎先生を人として見れなくなってきていた。私の言いたい事を仕草だけで理解してくれる。そして、伝えられない代わりに私が言いたかった事をそのまま皆に伝えてくれる。
今だってそう。最初はちゃんと言おうと思って前に出てみたけれど、皆の目が怖くていつもみたいに引き下がってしまって何も言えずにうろたえてしまった。なのに、柏崎先生は私の気持ちを取り零さないように大切にすくってくれる。

「あの、軽音部としてやっていくなら先にインストか歌ものか決めた方がいい気かと思うのですが・・・」

眉を下げながら頬を赤らめて最もな事を言う津田くん。