あの人と私、どちらの命が大切なんだろう。柏崎先生と私、祖父母と私、たけちゃんと私。色んな人と比べてしまうの。比べずにはいられないの。もしあの人がここに乗り込んできて、誰かの命を要求したとしたら差し出せる人は誰なんだろうって。それはきっと、汚された過去がある愛されない私なんだろうって。

「お前がいなくなったら、俺は悲しむからな。叶多も陽翔も、隼人も健も皆泣くんだ。お前の祖父母なんて絶望で鬱になるかもしれん。下手したらショックで寝たきりになったり、後を追ったりするかもしれん。それくらい、お前は愛されているんだぞ」

真っ直ぐ見詰められた柏崎先生の目が私に生きろと言っていた。俺を信じて生き続けろと言っているような気がしてならなかった。
たけちゃんは今にも泣きそうな目で死ぬなと訴えてきていた。きっと祖父母に聞かれていたら耳が痛くなるほど叱られていたかもしれない。