自分の一部を犠牲にするのなら、私には叶えたい願いがたくさんある。祖父母に幸せな人生を歩んでほしい。柏崎先生にお似合いの、素敵な奥さんを作ってほしい。そうやって自分が幸せになりたい。
ただ、他の誰かが犠牲になるなら話は別だよ。私の幸せに関係のない、赤の他人が私の幸せのために犠牲にするなんておかしい。
私には誰かを犠牲にしてまで自分が幸せになる道を選べない。したくない。それなら私は不幸で良い。自分のせいで誰かが不幸になったなんて受け入れたくない。信じたくない。

「お人好し!ちったぁ自分の心配しろ!」

たけちゃんが私を叱る。確かに私の許へ脅迫のような手紙を送るのだから私が1番狙われていると考えるのは自然な事だと思う。けれど、自分の心配なんてしてられない。その前に柏崎先生が殺されてしまうのかもしれないんだから自分の心配なんて後回しで良い。柏崎先生が無事なら私はそれで良いの。