左の髪の毛を触り始めた彼女。俺の質問かあの臨時教師に戸惑っているんだ。でも、あの臨時教師のせいなら何で彼女が戸惑う必要があるんだ。勘違いされたくないのは俺の方なのに何でだ。頼れる人がいなくなってしまうとでも思っているのか。そんな事、気にしなくても俺はずっと友としてそばにいるつもりなのに。

「まぁ、帰るんだろう?車に乗ってくれ、送っていく」

というか、送らせてくれ。家に着くまでに誤解を解かせてくれ。そうしないと俺が嫌なんだ。あの正月の一件で分かった。俺は友達でも良いから千里が目の届く所にいてくれないと不安だって事。

「寒かったろ?大丈夫か?」

車に乗っても千里は俯いたままだった。目を合わせてはくれなかった。やっぱり誤解を解く事は出来ないのか。このまま、また離れていってしまうのか。またギクシャクしてしまうのか。