「せーのっ!」

時計の全ての針が上を向くのと同時に、皆は紐を揺らして鐘を鳴らした。そして、手を合わせて願った後。ここにいるほとんどが楽しみにしていたあれが始まる。

「あけおめーっ!さぁ、やるぞー!グーチョキパーだかんな!」

健がそういうと皆で構えて準備を始める。チーム分けのじゃんけんだ。敷地内で行うただのかくれんぼのチーム分け。ただ子供とペアになって行うため、斜め上を行く提案が出てきて案外楽しめるんだよな。

「グー、チョキ、パー!っしゃあー!」

健が神主の子供の一人、千里は陽翔ともう一人の子供、神主は隼人と一番幼い子供、俺が叶多と組む事になった。陽翔と叶多は今年で卒業だし、ただの人数合わせの俺が来年も呼ばれるかは分からない。今は全てを忘れて楽しみ抜こう。俺は心の中でそう呟いて叶多と隠れる場所を探した。