それならそれで越した事はない。良かった、また振り出しに戻ったわけではないんだと安心できる。

「風邪だかなんだか知らねぇが付き合えよ、保護者。取り合えず神社の前で年越しだ!」

皆がおーっと片手を上げ、千里は戸惑いながら少し上げている。可愛い。そう思うのは事実だが立場上、そんな事も言ってられない。この笑顔をこれからもそばで見ていくためには何とか関係を修復しなければならないんだ。
気が付けば今年も後十数分。健たちが浮かれているのはそのせいか。毎年恒例のあれをするからだ。

「今年は絶対に負けないからな!」

神主が階段の上で手を振り出迎えている。神主と子供たちが目を輝かせて待っている。俺たちは神主たちの所まで階段をかけ上がり、子供たちと一緒に鐘の紐を掴んだ。