「わっ!悪い!大丈夫か!?」

後数時間で今年も終わるというのに、千里が来てからは忙しいな。喜んでは落ち込んで。傷付いては傷付けて。何やってんだろうって自分が情けなくなる事ばかりだ。

「あのっ、えとっ」

恥ずかしげに狼狽える彼女が今日も俺の胸を高鳴らせる。酷い事をしてしまったのにそんな可愛い表情を見せられたら諦めようにも諦められないだろう。
どうして俺を困らせるんだ。どうして俺を悩ませるんだ。お前の笑顔が、お前の仕草が。お前の全てが教師という俺をダメにしていく。
俺の心の中に入り込んできては掻き乱す。俺を俺じゃない何かに変えようとする。そのスピードについていけていない俺の心と頭は破裂寸前でどうする事も出来ない。でも、俺がこうして彼女に振り回されているのは彼女のせいだけじゃないんだろう。

「怪我無いか?」