傷付けないようにと気遣ってくれているのがすぐに分かった。そして、俺が今、何をするべきなのかも何となく分かってしまっていた。
まだ二人でいたい。けれど、彼女の事を思うのなら寝室を出て皆の所へ行った方が良い。その方が彼女をこれ以上、気まずくさせなくて済む。
二人の沈黙を書き消すようにゴンッという鈍い音が窓の向こうから聞こえた。神様がこんな俺に救いの手でも差し伸べてくれたのだろうか。千里と目を見合わせ、窓を開けて下を見ると何も知らない健たちが何か叫んでいた。

「初詣ー!二人も付き合えー!」

救われた。本当に救われた。そんな簡単じゃない事は分かっているけれど、健たちといれば千里の気も紛れてくれるかもしれない。
いや、気が紛れるのは俺の方か。皆と会って帰る頃には全て元通りになってくれたらという願望が出てきたんだ。そうなってくれたらって思ったんだ。