私のせいで結婚が遠退いてしまうんだ。きっと望んでない。柏崎先生だって結婚したい相手がいるはず。今はいなくても見付けたいはず。私がここで柏崎先生の優しさに甘えて困らせる訳にはいかないんだ。

「柏崎先生、ちゃんと横になりませんか?まだ熱もありますし」

なるべく。出来るだけ普通に話さなきゃ。出来るだけ気にしていないという雰囲気を出さなくちゃ。柏崎先生にも、お姉さんたちにも迷惑がかかってしまう。

「・・・、千里は俺が嫌いか・・・?」

強い力で体を引き離そうとされているのに微動だにしない柏崎先生。やっぱり柏崎先生も男なんだ。そう実感させられてしまった。
別に女の人だと思っていたわけではないけれど、柏崎 結羽という一人の人間として見ていたから少し怖くなってしまった。最初の頃は一人の男の人として見ていたから怖かったのに。