柏崎先生が私を好きだと言ってくれたのは、私が言ってほしいから。柏崎先生が私を抱き締めてくれているのは、きっと心のどこかで柏崎先生なら大丈夫なんじゃないかと思っていたから。
きっとそれだけの話で現実になるわけではないんだ。私が勝手に思い込んでいる私の夢なんだ。夢と現実の区別もつかないで一人で浮かれてバカみたい。

「ちょっ、あんた!何やってんの!夢華ちゃん大丈夫!?」

夜行列車で先生の家に向かっていたお姉さん家族が着いたらしい。三女のお姉さんが抱き締める柏崎先生を私から引き離そうと必死になっていた。長女のお姉さんも一緒になって離そうとしてくれた。旦那さんは次女のお姉さんと一緒に見ている。
そうなんだよ。普通はこうやって抵抗して皆さんに迷惑覚悟で頼らなきゃいけないんだ。そうやって自分の身は自分で守れるようにならなきゃいけない。そうしないと、柏崎先生が結婚に踏み切れないんだ。私が遅らせているんだ。