止めなければいけない事は分かっているのにどうにでもなれと諦めかけている私がいた。どうせ流れてしまった涙。今更止めた所で何も変わらない。今日はなぜかそう思ってしまって、溢れる涙が止まらず、止めようともせず。ただただ泣いていた。

「泣き虫・・・」

またいつものように頭に手を回して、胸の中で泣かせてくれるのかな。伸ばされた腕にそんな事を思っていて、わりと平常心なんだなと自分に思ってしまっていた。

「せん・・・っ、せい・・・っ!?」

ただ熱のせいなのか、ただ寝惚けているだけなのか。今日の柏崎先生は私を胸に寄せるだけでは終わらなかった。空いているもう片方の腕で私の背中を包み、力強く抱き締めてくれたんだ。
いつもなら怖くなって怯えて震え上がって。何とか逃げ出そうと必死になっているか、恐怖に震えて全身に力が入って硬直している。