古川の兄が古川と一緒にご飯を食べていた。あの時、俺がもし酔った勢いで俺の女に触るなと言っていなければ彼女はどうなっていたのだろう。俺と恋人であると周りに思われなかったとしたら、古川は本当に彼女を犯すつもりだったのだろうか。
一人でか。兄と自分、二人の相手を一度にさせていたかもしれない。俺が付いていながら最悪な事態になっていたかもしれない。
悪い考えがどんどんと溢れ出てくるおかげで、二日酔いでも無いのに気分が悪くなってきた。自分に幻滅しすぎて吐き気がする。

「柏崎先生・・・?大丈夫ですか・・・?」

隣に座っていた千里が、俺の異変に気付いて心配してくる。最悪な事態にならなかったから良かったものの、この困ったような千里の顔が見れなくなっていたかもしれないんだ。そう思うと安心して抱き締めたくなったけれど、そんな事出来るわけがない。