「何なんだよ・・・」

何か言いたい事があるのに、言おうとしない。そんな重たい空気に耐えきれなくなった俺は等々口を開いてしまった。が、それが彼女の扉を開けるタイミングと重なってしまい、俺の言葉は健たちに届く事はなかった。しかも、彼女が自分に言われたと解釈したらしい。きょとんとした表情で思い巡らしていた。

「あー、違う。そいつら」

状況も掴めないままの千里に開けた扉で隠れた健たちの存在を顎で教えた。扉を閉めて挨拶をする千里を見ると、俺も健も叶多も。機嫌が悪いのなんてどこかにふっ飛んで行ったらしい。俺たちはいつもの仲の良いテンションで昨日のライブの反省会を始めたんだ。しかし、体は嘘を吐かないらしい。その足は食卓のある部屋へと確かに向かっていた。

「早く食っちゃえよー。送っていくんだからなー」