「好きなんだ・・・、お前が・・・」

私に言葉を発する勇気がなかったのはもちろんだし、伝えなければと焦って余計に言えなくなってしまう。けれどゴモゴモと本人でさえ何を言っているのか分からない、何を言われているのか分からない。そんな状態の柏崎先生を一人で部屋にいさせたくもなかった。

「はいはい。分かったからお前はもう寝ろ」

結局、別室にしてもらう事も出来ないまま部屋に着いてしまった。通された部屋にはダブルベッドが1つあるだけで他にベッドはない。ただ、救いだったのは代用できそうな長椅子のソファがあった事だろうか。取り合えず、一緒の布団で寝なくて済んだみたいだ。

「バカ野郎ー。お前には渡さねぇ~よ」

「取ろうとも思ってねーよ。じゃ、おやすみなさい」