ただ、ろれつが今一回らなくなってきているのか語尾が伸びるようになってきていた。そんな柏崎先生に耳が熱くなったのを覚えている。でも、それと同時に心配にもなった。
私の家族は子供たちの前ではお酒を飲まない人ばかりだったから、酔っている人を見たのは初めてだった。だから、正常な酔い方とかこれが普通なのかとか何も分からなくて困ってしまったんだ。

「あ、いたいた。おい、結羽。部屋に行くぞ」

豪邸の主人だった。仮面パーティが終わり、お客様は皆帰った。皆は先に部屋へ戻らせた。そう説明してくれた。ただ、どういう訳か私と柏崎先生を恋人や夫婦のような関係であると思ったらしい。同じ部屋で良いよなと言われ、断る事も出来なかった。
断る勇気がなかったんだ。普通なら断るべきだったし、断りたかった。それに、柏崎先生と言えど一夜を同じ部屋で共にするのは怖かった。