中庭に着いても、柏崎先生は私の手を繋いだままだった。酔っているからと離そうとしたけれど、力が強くて私の力では離せなかった。

「柏崎せんせ・・・」

戸惑い、迷った挙げ句に話し掛けてはみたけれど言葉は途中で遮られてしまった。頬が赤く染まり、目尻がとろんっと垂れ下がる柏崎先生にときめかずにはいられなかったんだ。私があまり好まない言葉で表すのなら“誘っているような色っぽい目”だろうか。

「千里ぃ・・・。俺はぁ・・・、どうしたら・・・?」

いつもより低く響く先生の声は私の鼓動を更に速くさせた。活発になりすぎて、破裂してしまいそうだった。柏崎先生が真剣に何かを質問しようとしているのにと何度も落ち着かせようとはするのだけれど、こうなってしまった以上、言う事を聞くはずなかった。