しばらく、いや、時間的にはそれほど経っていなかったのかもしれない。少し強引に腕を掴まれた私の前に立ち、柏崎先生が庇ってくれたのは。
義父と兄、元教師にされた事がフラッシュバックして私は自分を失いかけていた。私の様子が変わった事に気付いて助けてくれたのかもしれない。そう思うだけで嬉しくて胸は高鳴った。けれど、ただ隣にいたから鬱陶しいと思って口を挟んだだけかもしれない。
私は自分が傷付かない言い訳を探した。柏崎先生に手を引かれ、中庭へ連れ出された間に答えを見付けようとした。柏崎先生は酒が入った状態で踊り、酔ってしまった。だから、私を守るように間に入ってくれたんだ。何らかの理由で機嫌が悪かったから苛立って注意した所、偶然守る形になってしまったんだ。
なるべく、なるべく傷付かない方へと解釈した。そうすれば、悲しみも減る。今後の関係がギクシャクしてしまう確率も減る。皆丸く収まるようになる。

「・・・?」