この笑顔に何度救われたのだろう。何度勇気をもらったんだろう。また笑ってる。ただそれだけで胸が高鳴って、温かくなって嬉しくなって。

「ドレス、似合ってるな」

目元しか隠してくれていないけれど、仮面があって良かった。私、きっと今、耳まで真っ赤になってる。耳と顔が焼けてしまうほど熱いし、体も火照ってる。
なんで似合っているだなんてさらりと口にするんだろう。ただのお世辞だって分かっているのに、きっと他の人にだって言っているのに。
分かっているのに本気にして恥ずかしくなっている私って本当にバカなんだな。お世辞だって分かっているのに喜んでいる私って本当に単純なんだな。
仮面で隠しきれていない口許を手で覆ってしまった。手をもて余して、どこに置いて良いのか分からなくなったから。でも、柏崎先生はそんな私の心なんてお構い無し。

「来い」