それから、俺は異様なほどあいつに反応するようになった。中学であいつの働いている高校の話、ピアノ教室の先生の話。確か、この町の病院の看護師の一人があいつの姉だったか。
あいつの話をしていた人は同級生であろうと先輩、後輩であろうと。例え教師であろうと構わず殴り、蹴った。
理由なんて訊かれても言わない。絶対に何も話さない。理由を言えば、島ちゃんに迷惑が掛かると知っているから。自分のせいでと悲しむ事を知っているから。
悲しませないためにあいつの話をしないようにしているのに。悲しむ事が無いように話すら上がらないようにしているのに。俺が悲しませていたら意味がないだろう。

「それでここはね?」

この笑顔を守るんだ。俺の大好きな笑顔、俺のために向けられた笑顔。やっと出来た俺の大切な人を守るんだ。あいつから。世の中にある悪という物全てから彼女の笑顔を守るんだ。きっと、それが俺の生きる意味なんだ。