違う世界がある事を知ってからは、ギターも持っていないのに教室へ通っていた。時々、教室にあるギターを触らせてもらいながら島ちゃんと二人で授業をしてくれたりもした。

「せん・・・あ、悪い」

あいつが俺と島ちゃんの仲を引き裂こうと現れたのはそんな時だった。島ちゃんが中々呑み込めない俺のために授業の前後に個人レッスンしてくれるようになった頃だ。
あいつは何度も何度も島ちゃんに話し掛けては俺の存在に気づいて去っていく。母さんと浮気していた人は皆、人の顔を伺っては去っていく。あいつの行動は母さんと浮気していた人と同じだった。
その時、俺は思ったんだ。島ちゃんを惚れさせて遊んでいるんだと。そうに違いないと。
誰かが守ってあげなければ島ちゃんが傷付いてしまう。傷つけられてしまう。そう思ってからは、俺がそばにいなきゃ。俺が守ってあげなくちゃって。