たぶん、頬も赤く染まっていたと思う。島岡先輩の体温や匂い、鼓動が直に伝わってきて頭はパニック状態だった。でも、そんな状態でも一つだけ分かったのは島岡先輩が笑っているという事だった。

「ごめんなさい、ありがとう」

照れたように笑う先輩が余計に愛しいと思えた。外見に似合わず人見知りで何も出来ない俺にも守れる者があるかもしれないという勇気を、先輩はその笑顔一つで与えてくれるんだ。
2年前のように周りに人が集まってくる事はなかったけれど、2年前のようにカシザキが駆け寄ってきた。まだ一緒にいるんだという落ち込みが湧き出てきたと同時にカシザキが一緒で良かったという安心感が芽生えた。俺の心の中でその複雑な感情が螺旋階段のように回りながら上がっていた。そして、そんな俺に2年前と同じ台詞をカシザキは言ったんだ。

「すいません!こいつが何か気に触る事でもしましたか!?・・・って隼人か」