嫌われないように俺が焦っているにも関わらず、島岡先輩は何か喋っているなくらいの小さな声でカシザキと話していた。そして、カシザキが俺と島岡先輩の間に入って説明してくれていたんだ。

「そういう気持ちがあるだけで嬉しいですよ。な?」

笑顔で頷く彼女が天使という名に相応しいほど可愛かった。フワッとした雰囲気に花のように誰からも愛されるであろう笑顔。俺に無い物を全て持っているような気がして、もっと知りたくなって行った。
それから月日が経ち、4月。島岡先輩と健先輩が卒業した今も、俺は島岡先輩の事が好きだ。2年生に無事上がり、新1年生が二人入部してきたけれど吹奏楽にはまだ遠い。これから一年も軽音部として活動していかなければならないだろう。
ただ、あの学校祭がニュースになって他の学校の生徒が校門の前で俺や陽翔先輩、叶多先輩を待っているようになってしまった。モテるのは嬉しいけれど、追っかけは苦手だ。