震えて怯えながらも、笑顔を作って謝る島岡先輩。その姿に恋に落ちた。可愛くて弱々しくて。人見知りで臆病な俺でも守ってあげられるんじゃないか。守ってあげたいんだって不意に思ってしまったんだ。

「ありがとうございました」

引き吊った笑顔が更に俺を引き寄せる。心配して駆け寄る吹奏楽部の先輩たち。この時、島岡先輩が吹奏楽部のマネージャーか何かをしているのかもしれないと思った俺はやっぱり吹奏楽部へ入るべきだと思ったんだ。

「あんまりそばを離れるなよ、島岡」

周りにいた、先輩やカシザキはインテリアなどの背景と同化して眼中になかった。心臓がバクバクして、頭にガンガン響いて。なのに、それすら感じられないほど引き込まれて行くんだ。
高校へ入る前には完全に彼女の虜になっていた。窓の外を見る度、家の外を歩く度。会えないかと期待していた。