最初はな。けれど、あいつの執着は異様だった。俺と二人でいる所を見れば今日みたいに引き離そうとするし、一人で歩いている俺とすれ違うだけでも睨んでくるようになっていった。
母親と重ね合わせているだけだとしても、あいつはもう中学生だ。後2年もすれば高校にだって入るだろう。なのに、あの執着心は恐怖さえ感じられる。
救いがあるとするなら、その事に千里が気付いていない所だ。まだ子供だからと言って軽く受け流している所がまだ救いなんだろう。
ため息を吐きながら住居である二階に上がり、ご飯の準備を始める俺の許に姉が来た。この町を出た二人の姉が里帰りしてきているため、3人一緒に起きてきたんだろう。髪はボサボサ、寝ぼけた顔、毛玉だらけのスウェット。3人が3人、同じ格好をしていて呆れた。
友達や生徒だったらまだ感心すらないからそんな格好されていても何とも思わないんだ。ただ、それが姉という存在になるだけでもう少し小綺麗にしておけよと腹が立つのも事実な訳で。