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「ふああ……」

次の日。いつもは二人分の朝食を作るのに今日は三人分作ってあげて、しかも育ち盛りだからとヤツはご飯を2杯おかわりして今は呑気に大あくび。


「朝ごはんこんなにガッツリ食ったの久しぶりだわ」

いや、私も人様の家でこんなに遠慮なくガッツリ食べるとは思ってなかったんだけど。


「それにしても昨日は面白かった。おじさん全然変わってねーよな。なんつーか良い人のままで安心したよ」

良い人っていうか、お父さんは私と違ってのんびりした性格だからお人好しって言葉のほうが合ってるかもしれない。

お父さんと西崎は何年も会ってなかったはずなのに全然そんな壁を感じさせなくて、今朝だって「おはよう。よく眠れた?」から始まって朝食を食べ終わるまでお父さんと西崎は会話が途切れることはなかった。

その光景に私は違和感だらけだったんだけど。


「ほら、おじさん元気なかったじゃん。あの頃」

〝あの頃〟と言われて脳裏を過ったものがあったけど、それを打ち消して今は大事なことがある。


「あのさ、並んで歩かないでくれない?」