メガネの奥の真剣な瞳が私をじっと見つめる。




「よかったら、俺と付き合ってもらえませんか」




「っ、嬉しいけど、私まだ佐藤くんのこと何も知らないし…」





「返事はすぐにじゃなくていいです。まずはお友達から、始めてもらえませんか?」





友達、かぁ。




それなら、いいかも。






「ねぇ、千晶くん」



「んー?」




放課後。




今日も今日とて私の膝枕の上でさっきコンビニで買ったばかりの週刊少年誌を読みふけっている千晶くん。




「1個だけ自慢してもいい?」




「いいよ。1個だけね」




「今日ね、告白されたの」




「………うん、それで?」



…なんだ。




全然期待していた反応と違う。




「一目惚れだって。それって私のこと可愛いって思ったってことじゃない?」





「そうだね。で、それで?」




「それでって…」





お友達から始めることになったんだけど、さ。





「千晶くん、つまんない」




「なにが」




「だってもっと悔しがってくれるかと思ったんだもん。」




漫画から目を離すことなく淡々と返事だけが返ってくる。そんなこの状況が不満。





だってだって、お互いそういう相手がいないままここまできた中で、私の方が先に彼氏が出来そうなんだよ?




容姿も成績も身長も負けっぱなしの私が、初めて千晶くんにドヤ顔をかませるはずの絶好のチャンスなのに。




そりゃあモテモテの千晶くんからしたら告白されたくらい大したことじゃないかもしれないけどさぁ。





……って、あれ?






「千晶くんって、どうして彼女作らないんだっけ?」