私の知ってる限り、身近に千晶くん以上のイケメンはいない。



何だかんだで優しいし、登下校の際は私のスクバも一緒に持ってくれるくらいにはレディファーストだし。




こんなに近くにリアル王子がいれば、目も肥えるってものよ。




「まぁ、紗和が彼氏を連れてきた日にはまず俺と面談だけどね」



「えっ、なにそれ」




「当たり前でしょう。幼なじみなんだから」




「なにそれ、職権乱用だよ」




「だから紗和も職権乱用したらいいよ」




私の髪を巻き付ける、彫刻みたいに綺麗な指先。





「俺くらいかそれ以上じゃないと紗和の彼氏は務まんないよ」




「人を問題児みたいに言わないでっ」




「充分問題児だっての」




「む。どこがよ」




「さぁ?ひみつ」




「わっ」





ぎゅう、と長い腕が私の腰に巻き付く。





「じゃあ、俺はこのダブル肉厚枕に包まれて寝るから、適当に起こして」





私のお腹に顔を埋めて、膝枕の上で目を閉じる綺麗な顔。




ぶん殴ってやろうかと思ったけど、やめた。





「……腹立つなぁ」





すぅすぅと女の子みたいに静かに寝息を立てる姿に、不覚にも見とれた。