「わかったから!とりあえずおろして!!」
さすがにこれは恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして俺を睨みつける紗和。
仕方なくおろしてやると、そのままてくてくと駅の方に向かって歩き出す。
「……家、帰る」
「うん、そうしよ」
紗和のスクバを持ってやろうと手を差し出したけど、ぷいっとそっぽを向かれてしまって。
電車内でも無言のまま、最寄り駅で降りていつもの帰り道を歩く。
「……で?二股じゃないなら、どういうこと?」
紗和の家にお邪魔して、ベッドの上に腰掛ける紗和の前で正座する俺。なんだこれ。
「いや、話すと長くなるんですが」
「はい」
「本当にやましいことはなくてですね」
「いいから早く説明して」
どうやら俺のクソダサい話はやっぱり省略させてくれないらしい。