紗和が好きで、可愛くて、大切で、どうしても手に入れたくて。




その割には自分から好きだと言う勇気もない、甲斐性無し。




仕向けられたとはいえ、面と向かって気持ちを伝えくれた紗和の方がよっぽど真っ直ぐでかっこいい。




だから、こんな俺を知ったら幻滅されそうで、怖い。




そう思っていたけど、今はもうそれどころじゃない。




「紗和!」




「っ、やだ…!」



やっと見つけた紗和の手を捕まえると、あからさまに嫌がられて普通に凹む。まあ、俺が悪いんだけどさ。





「千晶くんのばか!ばかばかばか!!」




「ごめん、ごめんって!でも、誤解だから、本当に!」



「知らないもん!わかんないもん!!」




いやいやと首を振る紗和の目からこぼれ落ちる涙にぎくりとする。





本当に俺、よく泣かせるなぁ。