…ずるいのは、千晶くんだよ。
そんな真剣な目で、こんな至近距離で見つめて。
お預けをくらった犬みたいな私に、そんなこと言うなんて。
ずるくて、かっこよくて、甘えたで、ちょっぴり意地悪な千晶くん。
恥ずかしいけど、惚れた弱みとでもいいますか。
「ねぇ、本当に言ったら言ってくれる?」
「なに、そんなに聞きたい?俺からの愛の言葉」
「……聞きたい、です」
「ほら、じゃあ早くして」
「むぅ…」
千晶くんでいっぱいのこの部屋で、千晶くんが私の言葉を待っている。
当たり前の毎日が、特別に変わるのなら。
恥ずかしさも何もかも捨てて、きっと、何度でも言うよ。
「甘えないで、千晶くん!」
fin.