観念したのか
健ちゃんは場所を変えて話そう、と
店を出ることにした
歩きながら
健ちゃんは昔を懐かしむように話し出した
「俺が楓に恋したのは、高校生の時」
その言葉に驚いてしまった
私が健ちゃんと出会ったのは就職活動だった
「初めて話すな」
そう笑いながら話を続けた
「高2の時、俺が通っていた工業高校の学祭に楓は友達と遊びに来てたんだ。俺の一目惚れ。番号交換したくて、でも他の奴らもいて…でも楓は誰からも受け取ってなかったな」
『…あの高校に健ちゃん通っていたんだ』
「あれからずっと、楓が好きでさ、就活の時に楓を見つけた時にはかなり嬉しかった」
そんなに前から、と思うと
健ちゃんの気持ちが嬉しくなった