でもね、違うんだ
昔の健ちゃんは…
私が大好きだった健ちゃんは…


『お姉ちゃんの相手って、健ちゃんなんだね』


「へ?違うよ。前に言っただろ?もう詩織さんとはそういうのをやめたって。俺はただの小間使いだっただけだよ」


健ちゃんの前に置かれた冷えたビール
口につけながら
私に笑顔を見せながら否定をした


『あの店で亮平さんに会ってたんだね。亮平さんが言ってたよ。お姉ちゃんと一緒にいたって』


その言葉に
健ちゃんの手が止まった


『正装してて、髪型も違うしメガネだったからわからなかったみたい。それでも違うの?』



あの店に
お姉ちゃんと彼氏らしき人がいた、と
亮平さんから聞いたが
見たことがない人だと言っていた
でも里奈の情報だと
お姉ちゃんは「健ちゃん」と呼んでいたと言っていた