『いってらっしゃい』


「いってきます」



玄関で見送る私に
亮平さんは毎日必ずキスをしてくる
前はあんなに幸せだったのに
今では苦痛でしかない

これが一生続くのか
それとも
いつかこの苦痛が
忘れられる日がくるのか…


このままでいいのか、て
なんども考えた
でも
今更、私に戻れるところはない

父はどうかわからないけど
母は未だに姉に執着している
姉の死は私のせいだとも思っているだろう

ずっと働いていた会社に戻れるわけでもない
なら再就職をしたらいい
そう思っても
資格を持っているわけでもない
万年事務職、しかも雑用に近い仕事しか
していなかった
なによりも引っかかるのが年齢だ