『…どうぞ』
「ありがとう」
ローテーブルに置いた
亮平さん専用の湯飲み茶碗
まさか
また使う日が訪れるなんて思いもよらなかった
捨てなくて良かった、
一口飲んでらフーッと息を吐いた亮平さん
そして私をまっすぐ見てきた
何かあると
ローテーブルを挟んで亮平さんの前に座る
久しぶりに
亮平さんと二人きりに
変な緊張感を持ってしまう
「楓」
その声に
自然と涙が溢れてきた
「どんな理由であれ、楓を不安にさせてしまって申し訳ない」
再度頭を下げる亮平さん
声を出す事が出来ず
首を横に振るのが精一杯だった
本当にごめん、と
聞こえた声は先ほどより近く
久しぶりに
亮平さんの温かさに包まれていた