喫茶店に戻る途中、知由は車の中で眠ってしまった。
そのため、雪兎が知由を抱えて店に入り、ソファーに寝かした。
「天才で可愛いなんて、ずるいなあ、ラビットは」
レジーナは知由の寝顔を覗く。
「あの、レジーナさん。そのラビットっていうの、やめてあげてください。もうラビットと名乗っていないので」
雪兎はそっと、知由に毛布をかける。
「でも私、ラビットの本名知らないから……」
「三崎知由ですよ」
雪兎は迷うことなく、あっさりと教えた。
一弥、海、滋はいいのかと疑問に思ったが、誰も口にしなかった。
「ふーん。みんなはなんて呼んでるの?」
「俺と海は、三崎だよな」
「僕はみさきちゃんだよー」
カウンターで勝手にコーヒーを飲んでいた、一弥と滋が答える。
「あなたは?」
レジーナは滋の隣に座っている夏芽のほうを見る。
「え、私? 私は知由ちゃん、かな」
「じゃあ……三崎でいっか。ところで、ここは?」
レジーナは店内を見渡す。