「なあ。夢郷未咲って、本当に演技上手いな」
本当に全てが片付いて、一ヶ月後。
夢里は新しく始まったドラマの主演になっていた。
それを、一弥は昨夜見たのだ。
「僕たち、本物を見てた……ていうか、騙されたんだよね。悔しいって思うべきなのかもしれないけど……ちょっと嬉しい」
滋は笑みをこぼす。
海と知由が呆れたように笑っていることに、二人は気付いていない。
すると、話題の人物が店内にやってきた。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは。遊びに来ました」
夢里は被っていた帽子を脱ぎ、可愛らしい笑顔を見せる。
そして、カウンター席に座った。
「……初めて会ったときと、大分雰囲気変わったよな」
一弥はコソッと滋に言ったはずだった。
だが。
「だって、演技しないとすぐに知由に抱きついちゃいそうだったんですもん」