「そんなこと言ってたら、恋愛なんて上手くいかないよ?」
「麗ちゃんは可愛いから……」
人はまず見た目からって言うし……
「可愛いだけじゃ、嵐士は私を見てくれないもん。ちゃんと、自分から好きだって言わないと」
麗ちゃんは私が言ってるのを遮って、そう言った。
麗ちゃんの言葉は、説得力があった。
「私……頑張ってみようかな」
「そうだよ!目標はダブルデート!」
麗ちゃんの目は、驚くほどに輝いていた。
ダブルデートか……
楽しそう。
「麗ー。帰るぞー」
すると、部屋の外から野澤君の声がした。
「じゃあね、花!また明日!」
よほど、野澤君と帰れるのが嬉しいんだろうね。
麗ちゃんは満面の笑みで帰っていった。
「麗ちゃん、可愛かった……」
コーヒーを飲もうと思ってキッチンに立ち、そう呟いた。
「お前も負けてねーよ」
……三神君のバーカ、バーカ。
さらっとそういうこと、言わないでくれないかな。