野澤君のボディガードさんたちは、瞬く間に不良を倒していった。
倒れていく不良たちの真ん中に、千秋が倒れていた。
「千秋……!」
自由の身となった私は、千秋のところに駆け寄る。
千秋はもう意識を失いかけてた。
「酷いよ……」
私の口からこぼれるように出た言葉を、お父さんは聞き取っていた。
「酷い?父親の幸せを壊したお前が言うな」
「うるさい!父親?十五年も放ったらかしてたくせに、今さら父親面しないで!」
もう、歯止めが利かない。
思ったことが次々と口から出ていく。
「私の居場所は千秋の隣。そこ以外にいたくないし、行く気もない!」
「俺が……花を手放すわけない、だろ……」
すると、千秋の小さな声が聞こえた。
「千秋!大丈夫……なわけないよね。ごめんね、千秋……ごめん」
「なんでお前が、謝ってんだよ……」
千秋はそう言って、意識を手放した。
混乱した私に代わって、野澤君が救急車を呼んでくれた。
「花……」
「ごめん、今話したくない」