「これをお前の恋人に送り付けてやる」


「やめて!」



私は思わず叫んだ。


だけど、それは逆効果だったみたいで、お父さんは嫌な笑みを浮かべた。



「今から何分で来るか、見ものだな」



恐怖で声が出なかった。



涙が出そうだったけど、堪えた。


ここで泣いてしまえば、なにか言われるに違いないから。



「花!」



数分後、息を切らし、汗だくの千秋が倉庫に入ってきた。



「七分か。なかなかだ」



倉庫にいる全員の視線が、千秋に集中する。



「殺さない程度にやれ」



お父さんがそう口にすると、一斉に千秋に向かっていった。



最初は避けたりしてたんだけど、一人対何十人となると、千秋に勝ち目があるわけない。



目の前で、千秋が血だらけになっていく。



本当に容赦なくて、我慢していたはずの涙が頬を伝った。



「もうやめてよ!なんでこんなことするの!?」



私は遠巻きに千秋がやられるのを見ているお父さんに、泣き叫んだ。