『これより、体育祭を終了します。
クラスごとにそれぞれ教室に戻ってください』



閉会式が終わって、みんなに呼びかけるように先生が言う。



総合優勝は、選抜リレーを逃したけれどほかの競技で点を重ねていった私たちの色だった。



みんな疲れてるからか、一度席に戻らなきゃならなくてもノロノロと歩いている。



ノロノロとした周りの動きに合わせて私も自然とノロノロ歩く。と、そんな中ダッシュでこっちに向かってくる人影が。



まぁ、沙奈だよね。



「麻奈ちゃんお疲れ~!
負けちゃったよ悔しい!来年は勝つ!!」


「お疲れ沙奈。でも、選抜リレーはそっちだったじゃない?」


「来年は両方優勝!」


「望みすぎ~」


「望みは高く!だよ!」


「てか沙奈、あんた自分のクラスの方行きなさいよ。ほらほら戻って」


「はーい」



と言ってまた走って戻る沙奈。どこにそんな元気があるの...。



「麻奈ちゃ~ん!」



ん?なんで戻ってきたの?



「あのさー!お母さんがさー!」



走りながら叫ぶ沙奈。そんなことしたら周りに丸聞こえじゃん!


「ちょっと沙奈、こっち来てから──