猫は浩二さんの腕の中にいます


「どうやら、あなたが選ばれた人らしいですね‥」


そう言うと、男はやにわに


「お手洗いはどちらに‥」

浩二が教えてあげると、彼はそそくさとそちらへ‥

「俺が選ばれた人って‥なんのこと?
有美も帰って来ないし、困ったなぁ‥」

トイレの方からは何やら、男の声

何を言ってるかわからない

浩二さん、ソファに座って、猫ちゃんは膝の上、じーっと浩二さんの顔を見ているようです

「あ、おまえさん、左右の目の色が違うんだねぇ」

瞳の色が違う猫は、幸運をもたらしてくれると言うけれど、果たしてこの子は?

「お待たせしました。お嬢様が是非に、ということですので、一緒に来ていただきたい。」

「え?一緒にって?どこに‥?」