「考えるな‥怖くなるだけだ‥上を見るな‥怖くなるだけだ‥ゼウスの右に行くんだ‥」


浩二さんの想像では、及びもつかないことに恐怖感すら覚えるのでしょう、一人ごとをつぶやいています


… … … …


「ピエール‥なんだかイヤな所だなぁ‥一気に走りたくなるよ‥」

『浩二さん‥目立つのは止めてください‥周りのスピードに合わせてください‥』

「分かってるよ‥大丈夫さ‥ゼウスを追うよ‥」


~ ~ ~ ~


ゼウスが動くのでしょう。周りのスピードに合わせていては、あまり近づきません。

浩二さんは少し、じれったくなっています。

とはいえ、一人も走る人はなく、皆が似たり寄ったりの行動で、外れるわけにもいきません。


「しかも、どこ見ても景色が変わらねえ‥」


でも、少しづつでも近づいています。
焦りは禁物‥