言葉も出ない浩二さんに、男が話しかけます


「お嬢様は、夜は人に会いません。
そのために、少し時間を調整しました。
どうぞ、こちらへ‥」


おそるおそる、視線を先に向けると‥

コンクリートのような床の先に、白い砂浜が続き‥ その先に‥

パラソル!

ピンクと白の!

ビーチチェア!

水色と白の!

人‥?

白いチューリップハットが見える‥

男の後ろをゆっくり追っていると‥


「お嬢様!」


初めて聞く大きな声に、浩二さん、思わずビクッとしてしまいます
男が2度目に、声をかけた後‥

チューリップハットが、ゆっくり持ち上がり‥

確かに、女性が‥


「ピエール!」


まだ声が遠くで、よく聞こえません