そして、すぐに表情を戻すと、また淡々とした口調で話し始めた。
「ではまず南城拓人さんですが…警察の方から伺ったところ、そちらのお二人と被害者が亡くなる一時間ほど前から約30分、話していたそうですね」
「はい、間違いないです」
拓人が頷いたのを確認して、話し続ける。
「具体的な話の内容を聞かせていただいてよろしいでしょうか?
大体でかまいません」
「えっと…ただの世間話の様なものだったんですけど……確か、軽く挨拶した後ワインの話をしました。
その時飲んでいた白ワインから話が始まって、何年の何のワインがどうだとか、あのワインはこの料理に合うとか」
「その時に、東野さんと西尾さんも一緒だったんですね」
突然話を振られ、慌てた様子で東野が頷く。
西尾茜はと言うと、至って冷静に晶の問いに答えた。
「えぇ、南城さんには普段から良くしてもらっていたんです。
私も東野さんも」
「そうなんですか。
政人さんとはよくそのような話をされるのですか?」